「負け犬の本を読んだ」の巻

●昨日あれだけ「負け犬の遠吠え」についてつまんない本、って書いちゃったけど、一行も読まないでそういうのは何かなーと思って、たまたま本屋に入ったら平積みされていたので、半分ほど立ち読みしてきました。感想→疲れた。世の中の独身女性に勇気を与える本!らしいですが、私は逆に勇気を吸い取られたような気がしました。でも、アマゾンの感想欄なんて見ると「読んで元気が出ました!」なんて書き込んでいる人もいるので、やはりまんざらでもなさそう。でも私と同様の反応をしている人もなんとなく半分くらいはいる感じ。

読んでいても酒井さん大変そう、というのが文面ににじみ出ている。まあ30代後半女性の心理なので私が理解できないところがあるかも知れない、というのを差し引いてもだ。誰だって色々確かに葛藤はするんだけどね。で、この方は女性誌で目にしない日はないくらいの方で、いつ読んでも鋭く面白い事を書いていたと思うけど、すごいなーと思ったことはあっても、好きだなーと思ったことはないです。同じ負け犬路線ならくらたまは私は愛情が持てちゃうんですけどねーー。

で、辛そうだなっていうのが文章を書くスタンスが常に自分を社会に相対化する観点で書いているからだと思うんですよね。あの人と比較したら私はこう、こういう社会の価値観に対して私はこう、という書き方なんだよね。だから手法として何種類かにカテゴライズしてそれらの特徴はこうで、自分はこの中のこのタイプになる、なんていう事ばかりになってしまって、このタイプは幸せになるにはこういう事をするべき、なんて展開になってしまうんですよ。その切り口は鋭いし、言い得ていると思うし、的確な言葉で表現する能力も本当にすごいと思うけど、ポリシーがこれでは確かに疲れてしまうだろう。その鋭い観察眼で得られた相対的価値を一生懸命自分という存在に当てはめて導き出そうとしているのよ。そりゃー辛いと思うよ。

で、あとは私が酒井さんの著作とか特に好きだなっていう気持ちが沸いてこないのは行間からわき起こる愛がないからかなーと思います。くらたまさんとかは自己愛を含めても描いている登場人物に対する愛を感じる(たとえ行きすぎてナルシーになっちゃってもね)。木村剛だってどんなに難しいことを言っていても(だから私にはわからなくても)、やっぱり行間から愛が溢れているんですよ。だから好きなのかなーと思います。酒井さんも愛を知ってください。